東京台湾あっちこっち

東京にすむ30代半ば、台湾を好きになりいちから中国語。

SHINee WORLD THE BEST 2018~FROM NOW ON~が始まって

K-POPの話題でこんばんは私は東京ドームのコンサート参加組なので、これはレポではなくて、今回のツアーが始まったことに関する個人的な思いやらです。

 

私の思ういい声No.1韓国編で一位に輝くオニュくんのいる韓国アイドルグループSHINeeのドームツアーが始まりました。

SHINee、年末位にメンバーが亡くなった事で日本の情報番組でも取り沙汰されてK-POPを知らない方も、今までSHINeeを知らなかった方も記憶にあるかもしれません。

 

アイドルをすごいと心底思った鮮明な記憶が幾つかあります。

同じ職場のオバチャマが東方神起ファンで、書類ケースやパソコンのデスクトップが東方神起でした。とても忙しい決済時期に「大変そうですね、大丈夫ですか?」と声をかけるとそのオバチャマが「もうほんっとに忙しいけど、でも大丈夫!来週東方神起のライブなの!」と。そしてライブ終わりの週明けに「どうでしたーー?」と尋ねると「すんごい楽しかったーーー!つぎのライブにも行けるように頑張って働くわーー、私!」とキラキラした目で語っていました。

一つ目のすごい、でした。

それから数年。友達のお母さんが末期のガンであることが分かりました。手術は出来ず、抗がん剤の治療をすることになり、そのお母さんは自分が好きなK-POPアイドルのスケジュールに合わせて治療日程を組むことにしたそうです。ご存知の方も多いと思いますが、抗がん剤治療は副作用も強い厳しい治療です。お母さんは、次の治療が終わったらコンサート、そしたらまた治療に入って、きついけど頑張ったらその次はファンミーティング!というように、しんどい毎日を過ごす一つの糧にしていました。

すごい、アイドルがこの人の日常を支える非現実だ。そう感じました。

 

こんな事を思い返すと浮かんでくるのはカート・ヴォネガットの『国のない男』の中にある「ブルースは絶望を家の外に追い出すことは出来ないが、その部屋の隅に追いやることはできる」といような部分でした。

 

奴隷制度下にある黒人の方々の生活と比べるなんておこがましいかもしれないけれど、私もみんなもそれぞれ色々ある毎日をなるべく楽しく過ごすために、明日が来ることが辛い気持ちになりすぎないために、音楽にはそもそもその時間だけでも日常のアレヤコレヤをちょっと間置いておける力がある。そして大衆が求める姿を繰り出していくアイドルという偶像には更にそのパワーがある、すんごいエンターテイナーなんじゃないか?!と。

家族が体調を崩しなかなかにバタバタしていた私もまた、日常を過ごすための非日常として、SHINeeの存在を頼もしく感じていました。

その矢先、メンバーのジョンヒョンが自分で死を選んだというニュース。

 

想像も出来ないほど沢山の人の人生の力になっていたであろう彼の、本当に思っていたことなんて私にはそりゃあ分かりません。私のような存在が彼自身を消費して心を枯渇させたのかもしれない、ゆるゆるとしたファンの私ですら、彼の死は心の痛むものです。個人的に会ったことなんてもちろんない、彼のことを思い、悲しく感じるなんてなんだか不思議なことでもあるようです。それでも、想像の世界ファンタジーのように彼の心の内を思い、悼む気持ちがいっぱいです。

 

身近に生きてきたメンバーの思いを想像すると、胸がいっぱいです。

大事な大切な人間があんなにも悲痛な言葉を残していってしまったとしたら。

葬儀で喪主を務めた4人の姿や、リーダーのオニュくんがその後インスタグラムにあげた「あなたが何をしていて、どんな人でも、それは関係ありません。でも一つだけ忘れないでいてください。あなたのことを、あなた以上に愛している人がいます。僕も応援しています」というメッセージ、ドームツアーを予定通りやると決めた時のメンバーそれぞれからの直筆のメッセージに込められた様々な思い。

ジョンヒョンの気持ちもメンバーの思いも、想像したってしたってわからないし、自分の毎日とはかけ離れた人達だけど。

 

私の人生経験の中でも、彼のように自ら死を選んだ人達が数人います。その時にいつも思うのは、その人が本当の本当に何を辛く思い、苦しんで、死を選んだのか、という事実はやっぱり最終的に分からない。だけど、その人が身近であればあるだけ、残された人には、それぞれの、真実が必要なんじゃないかってことです。居なくなった人を、それでも心に残し、人生を続けていくための真実。それはきっと時間のかかることだと思います。

 

今回、とても短い時間でコンサートをすることになったメンバー。初日はメンバーもファンも涙が多かったとのこと。ファンカムというのかな、禁止されてるけどファンの方が撮影された動画をみると、必死にステージに立つメンバーがいて、客席のファンからは泣き声も聞こえます。それでも、開演前に怒号のような円陣の声を響かせて舞台にあがるメンバーや、やはり泣きながら支えているというスタッフの方々の作り上げるコンサートを、見に行ってこようと思っています。

 

私の毎日をきちんと運転するためには、さすがに大阪まで行くという選択は出来なかったけど、非日常に飛ばす力を持っている彼らのステージ。

しかし、ファンじゃない方には何いってんだーーだろうなあ!ですが。

 

ドームツアーの開催前に発売予定であっただろう新曲には、ジョンヒョンの本当に綺麗な歌声も響いていました。ジョンヒョンのつくる歌の寂しさと、それを包み込むような歌詞もまた彼の残したものですね。


【日本語字幕】LEE HI ため息 한숨 (BREATHE)

ジョンヒョンはもとより、私の毎日に実際に関わるあの人のこの人の本当の辛さはきっと本当に分かることはないのだろうけど、でも、抱きしめていきたいなあと思うそんな曲を残したことを私は忘れないだろうし、そして本当にお疲れ様でした。誰もあなたのことを責めはしないよ。本当にお疲れ様でした。

 

あれれ、もっとライトな文章にしたかったのに、上手くいかなかったな。思いがダダ漏れで恥ずかしい、ま、いいか。